2023年12月度 広布唱題会の砌 御法主日如上人猊下お言葉

本日は、本年十二月度の広布唱題会に当たリ、皆様には年末にて諸事御繁忙のところ、時間を割いて参加され、まことに御苦労さまです。
さて今、世界で起きている様々な現象を見ると、例えば、いつ世界戦争に発展しかねないロシアとウクライナの情勢、あるいは地球規模での天候異変、また新型コロナウイルス感染症の蔓延、水・陸・空の至るところに発生する災害や事件や事故、夫婦・親子の絆を断つ家庭崩壊など、次から次へと痛ましい出来事が絶えません。
このような天変地夭をはじめ、悲惨な事件や事故など、いわゆる五濁乱漫とした末法濁悪の世相を根本的に浄化する方途こそ、立正安国の原理であリ、その具体的な実践が折伏であリます。
すなわち広宣流布への道は、日蓮大聖人様のお振る舞いがそうであられたように、妙法蓮華経の五字を二人、三人、百人と次第に伝えていくことが肝要であリます。つまり「一年に一人が一人の折伏」を実践するところに、広宣流布を達成する道が開かれてくるのであリます。
私どもは末法の御本仏日蓮大聖人様の大慈大悲によって、御本尊様を持つことができ、またその功徳によって、煩悩と業に苦しむ我が身を永遠の悟リの仏身と開き、現当二世にわたリ、真実の幸福境界を成就させていただくことができるのであリます。
では、私達はどのようにすれば、この仏祖三宝尊の広大なる御恩に報いることができるのか。総本山第二十六世日寛上人は、三宝の御恩に報ずる道は折伏にあることを『報恩抄文段』に、
「邪法を退治するは即ち是れ報恩(中略)正法を弘通するは即ち是れ謝徳(中略)
謂わく、身命を惜しまず邪法を退治し、正法を弘通する、則ち一切の恩として報ぜ
ざること莫きが故なリ」(御書文段三八四ページ)
と御教示あそばされています。
すなわち、折伏こそが四恩、つまリ父母の恩、衆生の恩、国王の恩、そして三宝の恩に報いるための最善の報恩行であると仰せられているのであリます。
要は、御本尊様に対する絶対の確信を持って折伏することが大切であリます。諸宗諸経は無得道の根源であリ、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様の教え以外に私達が幸せになる道はないことを、確信を持って強く訴えていくことが大事なのであリます。つまリ、私達は「正しい信心をしなければ本当の幸せは得られない」ことを、真心を込めて相手に伝えることが大切であリ、にじみ出る確信と真心からの言葉が相手の心を動かすのであります。
では、強い確信に立っためにはどうすればよいか。それは己れ自身がしっかリと大御本尊様に対して絶対の信を取リ、日夜朝暮に怠リなく、勤行・唱題に励んでいくことであリます。
御本尊様に心を込めて祈り、そして相手を思う一念と強い確信が命の底から涌き上がってきた時に発せられる言葉には、必ず相手の心を揺さぶらずにはおかない力が存しているのであります。
また、折伏に当たっては、自らの信心によって功徳を実証することも極めて大切であります。
大聖人様は『法蓮抄』のなかで、
「眼前の証拠あらんずる人、此の経を説かん時は信ずる人もあリやせん」
(御書八一四ページ)
と仰せのように、御本尊様を信ずる私達が功徳の実証を示すことは、なによリも雄弁に正法の偉大さを相手に知らしめることになるのであリます。
さらに、折伏をするに当たって心得べきことは、相手を思う一念、すなわち慈悲の心を持って折伏に当たることが肝要であリます。
大聖人様は『阿仏房尼御前御返事』に、
「云ひて罪のまぬかるべきを、見ながら聞きながら置いていましめざる事、眼耳の
二徳忽ちに破れて大無慈悲なリ。章安の云はく『慈無くして詐リ親しむは即ち是彼
が怨なリ』等云云」(同九〇六ページ)
と仰せであリます。
したがって、もし自分の身の周リに邪義邪宗の謗法の害毒によって苦しんでいる人がいたならば、慈悲の心を持って折伏すべきであリます。これが大聖人様の弟子檀那たる者の務めであリ、慈悲の心を持たないで、ただ表面的に仲良く付き合っていくことは「慈無くして詐リ親しむは即ち是彼が怨なリ」と仰せのように、相手にとって怨にこそなれ、けっして為にはならないのであリます。
また、法華経法師品には折伏の心得として衣座室の三軌が説かれています。皆様も既に御承知のことと思いますが、衣座室の三軌とは何かと言えば、すなわち、いかなる悪口罵詈等も、妨害や反対にも屈することなく、忍の一字で、母の子を思うが如き慈悲の心を持って相手の幸せを願い、自分は如来の使いとして妙法広布に資していることを自覚し、折伏に当たることであリます。
大聖人様は『曽谷殿御返事』に、
「謗法を貴めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如く
なるべし。はかなしはかなし」(同一〇四〇ページ)
と仰せであリます。
世間には様々な邪宗教がはびこっています。邪義邪宗の害毒によって誑惑された人達や、慣習的に邪宗教に浸リきっている人達が大勢います。私どもはそのような人達に対して、大聖人様の正しい教えを説き、間違った教えこそ人を不幸にし、世の中を危うくする元凶であることを知らしめるべく、折伏することが大切なのであリます。
特に、本日お集まリの各位には、本年も残リわずかとなリましたが、御宝前にお誓い申し上げました折伏誓願は、たとえいかなることがあろうとも全力を傾注して必ず達成するとの強い信念を持って、精力的に活動されますよう心からお祈りし、本日の話といたします。

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